お役立ちコラム

日本は長寿大国として世界でも有名な国で、その平均寿命は世界一ともいわれています。一昔前と比べると、その差は一目瞭然です。ここ数十年の間に、医療や衛生管理の技術は大きく進歩しているのです。
そんな長寿大国日本ですが、近年は少子高齢化が問題となっています。なかでもよく取り上げられるのが、介護の問題。高齢者が高齢者の介護を行わなければならないケースも少なくないため、介護の負担はとても大きいといえます。そのため、日本ではさまざまな介護サービス行われています。
この介護サービスですが、誰でも受けられるというわけではありません。さまざまな介護サービスを受けるためには、要介護認定というものが必要となります。この介護認定、どのようにして受ければいいのか、そもそもどういったものなのか、知らないという方も少なくありません。たとえ今必要でなくても、将来的に必要になる可能性はあるため、今のうちから確認しておくことも大切なのです。

■要介護認定とは?

要介護認定とは、介護保険制度のなかで制定されている認定のひとつです。被保険者が介護を必要とする状態であることを認めるもので、要介護認定を受けなければさまざまな介護サービスを利用することができません。
要介護認定には、介護を必要とする度合いを表す要介護度というものが設定されています。要介護度には要支援1から要介護5までの7段階があり、この程度によって利用できるサービスや介護保険による給付額が変わります。

■要介護認定の手続き

手続き

要介護認定を受けるためには、いくつか必要な手順があります。その手順について、以下にご紹介します。

・居住する市区町村への申請

まずは、自分が現在住んでいる市区町村への申請が必要となります。各自治体の役所の介護保険課、あるいはそれに準ずる課や、地域包括支援センターが窓口です。
要介護認定の申請を行う場合、専用の申請書のほかに被保険者証や印鑑が必要となります。申請書は前述した窓口のほか、各自治体のホームページからダウンロードすることもできます。被保険者証は介護保険被保険者証のことですが、これは65歳以上の方でなければ持っていないものなので、65歳未満の場合は医療保険の被保険者証が用いられます。
これらをすべて用意して窓口に提出すると申請が完了し、引き換えに介護保険資格者証を受け取ります。これは、被保険者証の代わりとなるものです。

・訪問調査

申請が終わると、自治体の職員やケアマネージャーによる訪問調査が行われます。この訪問調査では、現在の生活環境や介護の状況などがチェックされます。調査日程に関しては、申請後に連絡があるのでそのときに希望日程を伝えます。
訪問調査を受ける際には、普段の様子を記したメモの用意や、要介護認定を受ける本人の体調管理をしっかりと行う必要があります。調査では本人への聞き取りなども行われますが、普段できないことでもできると言ってしまう場合があります。それでは正しい判定をしてもらうことができないため、間違った内容を訂正できるよう普段の様子をメモしておくことが大切です。また、本人の体調が悪い場合も正しい判定ができないため、その点にも注意が必要です。

要介護認定は、申請書の情報と訪問調査の結果を総合的に判断して認定されます。申請から通知まではおよそ30日とされていますが、各自治体によっても異なるため確認しておきましょう。また、申請中であっても暫定的なケアプランを作成してもらうことができ、自己負担1割で介護サービスを受けることもできます。ただし、審査の結果認定が受けられなかった場合は全額負担となるので注意しましょう。

■介護施設の利用にも要介護認定が関係

近年は老人ホームに代表されるような介護施設も数多く利用されていますが、これらを利用する場合にも要介護認定が関わってくることがあります。一定の要介護度でないと入所できない施設や、要介護認定を受けていない人を中心とした施設など、施設の種類によっても変わります。
介護について考える上で、老人ホームなどの施設利用を視野に入れることも多いため、このことについても覚えておくことが大切です。

 

■介護認定の段階

介護サービスを受けるためには、介護認定を受ける必要があります。この介護認定には全部で7つの段階があり、介護サービスを必要としている利用者の状態によって振り分けられます。この介護認定の段階によって利用できるサービスも変わってくるため、利用者にとっては大きな問題となります。
介護認定は、要支援1~2、要介護1~5の7段階です。
要支援とは、今現在介護の必要はないものの、将来的に介護が必要になる可能性がある状態のことです。受けられるサービスは介護予防に関するものが多く、本格的な介護サービスは受けることが難しいといえます。
要介護とは、今現在介護サービスが必要な状態のことです。1段階は部分的な介護を必要とする比較的軽度なもので、5段階になると介護なしでは生活が送れない重度の要介護状態となります。特別養護老人ホームは要介護度3以上からの利用となっているなど、特定のサービスは要介護度が高い人でないと利用できなくなっています。

■要支援、要介護の詳しい分類

介護
前述のとおり、要支援や要介護の認定は利用者の状態によって7段階に分類されます。この要支援度、要介護度によって利用できるサービスも異なるため、分類にはしっかりとした基準が設けられています。その基準は以下のとおりです。

・要支援1……生活機能の一部が若干低下。介護予防サービスの利用で改善が見込まれる。
・要支援2……生活機能の一部が低下。介護予防サービスの利用で改善が見込まれる。
・要介護1……日常生活のなかで歩行等の部分的な介護が必要
・要介護2……日常生活のなかで歩行・排泄・食事等の部分的な介護が必要
・要介護3……日常生活のなかでほぼ全面的な介護が必要
・要介護4……介護がないと日常生活が難しい
・要介護5……介護がないと日常生活ができない

介護認定の基準を算出するときには、要介護認定等基準時間が用いられます。これは直接生活介助、間接生活介助、問題行動関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為の5つの分野で要する1日当たりの時間のことで、コンピューターによって計算されます。この時間がどれくらいかかるのかによって、支援度や介護度が変わるのです。

■介護認定によって変わる金額

介護関連の費用のなかには、介護認定によってその金額が変わるものがいくつかあります。
ひとつは、支給限度額。支給限度額は、1ヶ月に利用できる居宅サービスの費用上限のことです。この支払限度額の範囲であれば自己負担1割(場合によっては2割)でサービスを利用することができますが、限度額を超えた分は介護保険の負担額軽減が適用されません。たとえば要支援1の場合の支払限度額は50,030円ですが、要介護5になると360,650円となります。
介護報酬も異なります。介護報酬とは利用者に介護サービスを提供した際に事業者に支払われる費用のことで、利用者の支援度、介護度によって金額が変わります。要支援1の場合では介護報酬は53,700円ですが、要介護5では239,400円となります。

基本的には現状に見合った介護度が設定されますが、なかには現状と認定された要介護度が合っていないと感じられるケースもあります。介護度が1変わるだけでも受けられるサービスや費用は大きく変わるため、合っていないと感じたときには介護認定の受け直しも検討してみましょう。

■各段階での状態とは?どの段階まで一人暮らしが可能?

上述したように、各段階によって状況は大きく異なります。では、具体的にどの段階であれば一人暮らしが可能なのでしょうか。

最も一人暮らしが容易なのが、要支援認定を受けている方です。要支援であれば段階にかかわらず介助が必要ないため、多少の不自由はあっても一人暮らしをすることは可能だといえます。

要介護認定を受けている場合、1段階であれば一人暮らしは可能であるといえます。1段階では部分的な介護が必要ですが、その程度は比較的軽く、介護サービスを利用すれば一人暮らしは不可能ではありません。

しかし、要介護が2段階以上になると、一人暮らしは難しいといえます。

要介護2になると、ヘルパーの手助けがないと日常生活を送るのは難しいといえます。介護保険の限度額を超え、自己負担でサービスを受ける必要が出てくる可能性も高くなります。

要介護3以上の認定を受けている方の場合、日常生活においてひとりでできないことのほうが多くなります。自己負担額もこれまでに比べて格段に高くなり、金銭的な負担も大きくなるのです。

 

このように、要支援・要介護認定を受けていても、その段階によっては一人暮らしができるケースもあります。しかし、要支援・要介護者の一人暮らしには危険が伴うことも多いため、慎重に考えなければいけません。

 

■一人暮らしが難しそうだと感じ始めたら、老人ホームを検討してみる

高齢者の一人暮らしをサポートする介護サービスにはさまざまなものがあり、これらを利用することで一人暮らしができる範囲は広くなります。しかし、要介護度が高くなるにつれて一人暮らしは困難になっていき、また自宅でサービスを受けるには高額な自己負担がかかるようになります。こうした点から、希望していた一人暮らしを断念せざるを得ない状況に置かれることもあります。

一人暮らしが難しくなってきた場合、老人ホームに入居することも考えられます。老人ホームでは24時間体制で見守りが行われるため、一人暮らしとは比べ物にならない安全が保証されています。介護サービスもしっかり受けることができるため、親と子、それぞれの負担を軽減することができます。

 

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝

2011年 4月 入社 事業推進部 配属 
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長