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お役立ちコラム
2020年6月26日
地域包括ケアをわかりやすく説明!役割やメリットも紹介します!
近年話題になっている地域包括ケアですが、実際にどのような仕組みになっているのかを知っている人は、あまり多くありません。地域包括ケアについて知っておくことは、住み慣れた地域で老後を安心して過ごすために不可欠なのです。
そこで本記事では、地域包括ケアシステムの概要や必要になる理由、地域包括ケアを取り入れるメリットなどについて、詳しく説明します。
そもそも地域包括ケアシステムとは?
地域包括ケアについて理解する上で、そもそもこの仕組みがどのようなものであるかを、知っておくことが大切です。地域包括ケアには、大きく分けて以下の2つの役割があります。
- 1.地域一体となり高齢者を支えるシステム
- 2.サービスの主体を国から自治体へ移行していく
これらの役割を理解しておけば、地域包括ケアについてさらに理解を深められるようになり、高齢者を支える仕組みを理解しながら暮らせるようになるでしょう。ここからは、この仕組みの概要について、詳しく説明します。
役割1.地域一体となり高齢者を支えるシステム
1つ目は、地域一体となり高齢者を支えるシステムであることです。以前は、サービス提供者それぞれが独自に高齢者を支える仕組みを設けていました。しかし、退院や転院などの理由によって、従来のサービス提供者から離れてしまうと、そこでサービスが途切れてしまうのです。
地域包括ケアシステムを取り入れることによって、高齢者を支えるさまざまな人たちが、協力して地域ごとの課題に取り組むようになります。介護を提供する人たちだけでなく、医療を提供する側や、住宅の専門家や予防サービスの提供者といった、分野の枠を超えて高齢者を支えられるようになるため、地域の実態に即した介護が提供できるのです。
役割2.サービスの主体を国から自治体へ移行していく
2つ目は、サービスの主体を行政から地域の自治体へ移行していくことです。従来は国が主体となって介護サービスを提供していました。しかし、介護を主に行う場所を自宅へ移行させていくためには、地域の実情に合わせて地域行政が主導する必要があるのです。
地域が主体となって介護サービスを考えることで、より効果的に仕組みを整備できるようになり、高齢者たちが地域で安心して暮らせる社会を、実現しやすくなると言われています。
地域包括ケアが必要になる理由
地域で暮らす高齢者たちを支える仕組みである地域包括ケアが必要になってきた理由には、主に以下の3つがあります。
- 1.少子高齢化が進行しているから
- 2.介護士が不足しているから
- 3.要介護状態の予防が重要だから
これらの理由を知っておくことによって、地域包括ケアの必要性を理解できるようになり、これからの社会で必要な仕組みを考えながら、暮らせるようになるでしょう。ここからは、地域包括ケアが必要になる理由について、詳しく説明します。
理由1.少子高齢化が進行しているから
地域包括ケアが必要になる1つ目の理由は、少子高齢化が進行しているからです。日本では少子高齢化問題が深刻になっており、特に高齢化が進むことによる、社会保障費用の見直しは、喫緊の課題とも言われています。
日本人の平均寿命が延びることによって、高齢化とともに介護が必要になった人への保障額はさらに増えると見込まれています。今までの制度を持続させると、日本の財政が破綻してしまいかねないため、地域包括ケアを取り入れて、地域の実情に合わせた効率的な介護を提供できる仕組みを設ける必要があるのです。
理由2.介護士が不足しているから
地域包括ケアが必要になる2つ目の理由は、介護士が不足しているからです。高齢化が進むと同時に、高齢者たちを支える若い世代の人材も不足すると言われています。2025年になると、約250万人の介護職員が足りなくなるとも推計されており、現在の状況が続いていると、高齢者を支えきれなくなることが懸念されるのです。
そのため、地域包括ケアを取り入れることで、限られた人材の中で地域の高齢者を支える仕組みを作る必要性が高まっています。この仕組みが整備されるようになると、在宅で生活する高齢者を、介護職員を含めた地域全体で支えられるようになるのです。それによって、介護難民となる高齢者を最小限に抑え、住み慣れた環境で安心して暮らせるようにサポートできるようになることが期待されています。
理由3.要介護状態の予防が重要だから
地域包括ケアが必要になる3つ目の理由は、要介護状態の予防が重要だからです。要介護状態になった高齢者たちを支える仕組みづくりも大切ですが、要介護状態にならないようにする取り組みも重要になります。
介護予防に関する取り組みは以前から行われていますが、要介護状態を予防する必要性を理解している人は、あまり多くないのが現状です。地域包括ケアを取り入れれば、高齢者に関わる全ての人たちが、予防の必要性を理解し、予防活動に取り組むようになると期待されています。それによって、介護が必要になる高齢者を少しでも減らし、自立した生活を長く送ってもらえることにつながるのです。
地域包括ケアを支える地域包括支援センターの役割
地域包括ケアを定着させるためには、中心となって活躍する地域包括支援センターの役割が大切になります。しかし、地域包括支援センターに関わる機会はあまり多くないため、実際にどのような活動をしているのか分からないという人も多いです。地域包括支援センターの役割は、大きく分けて以下の2つがあります。
- 1.介護予防支援事業
- 2.包括的支援事業
これらの役割があることを知っておくと、介護が必要かもしれないと思った段階で、適切な行動を取れるようになるでしょう。ここからは、地域包括ケアを支える地域包括支援センターの役割について、詳しく説明します。
役割1.介護予防支援事業
1つ目の役割は、介護予防支援事業です。ケアプランを計画するのは、要介護状態になった高齢者ばかりだと考える人が多いでしょう。しかし、介護が必要な状態の手前である、要支援と認定された人や、要支援と認定されていなくても介護予防が必要だと判断された人にも、ケアプランを計画するのです。
ケアプランの計画は、地域包括支援センターが連携してしている居宅介護支援事業所と連絡を取りながら、高齢者の状態に合った計画を立てていきます。その他にも、ケアプランの立案に必要だと思われる機関があれば、その都度連絡を取りながら、必要な計画を作成していくようになっています。
役割2.包括的支援事業
2つ目の役割は、包括的支援事業です。管轄している地域の介護を支えるために、市区町村から業務を一部委託されることで、幅広い分野で高齢者を支えていく施策をとっています。この事業には以下の4つの事業が含まれています。
- 1.介護予防ケアマネジメント
- 2.包括的かつ継続的なケアマネジメント支援
- 3.総合相談や支援
- 4.権利擁護
これらの事業内容を細かく知っておくことで、地域包括支援センターの役割についてさらに深く理解できるようになるでしょう。ここでは、包括的支援事業について詳しく説明します。
事業1.介護予防ケアマネジメント
1つ目は、介護予防ケアマネジメントです。介護予防支援事業では、要介護状態を予防する必要がある高齢者に対して、居宅介護支援事業所などと協力しながら、ケアプランを立案していました。しかし、地域包括支援センターが主体となって介護予防に関する計画を立てることもあります。
提供される介護予防サービスには、訪問型や通所型、市町村の介護予防施策や民間企業が提供している介護予防サービスも含まれています。これらを統合することによって、高齢者一人ひとりに適した介護サービスを提案するのです。
また、介護予防以外にも、高齢者たちが生きがいや役割を持って暮らせるような活動にすることも念頭に置いています。それは、体の機能の維持以外にも、集団で活動したり、社会活動に参加したりする機会を与えることも、生きがいを持って生活するために大切になるからです。
事業2.包括的かつ継続的なケアマネジメント支援
2つ目は、包括的かつ継続的なケアマネジメント支援です。住み慣れた地域で生活する高齢者を支えるためには、介護に関わる一部の人だけでは不十分になってしまいます。高齢者に関わる医療関係者や介護職員、ケアマネージャーやその他高齢者が関連する施設関係者と、連携する仕組みづくりを作っていくのです。
それによって、高齢者の状態の変化に対して、対応機関同士がスムーズに情報伝達やサービスの連携がとれるようになることが期待されています。地域包括支援センターは、管轄している地域ごとにこれらの仕組みづくりを進めるとともに、ケアマネージャーや関係各所へ個別的な支援を行う役割も果たしているのです。
事業3.総合相談や支援
3つ目は、総合相談や支援です。在宅で老後の生活を送るスタイルが主体となってくることから、不安や悩みを抱えながら介護生活を送らなければならない人が増えてきます。地域包括支援センターでは、高齢者本人だけでなく、高齢者を支える家族の思いを受け止めながら、適切な助言を行っているのです。
相談内容によっては、専門的な知識が必要になる場合もあります。センターには、ケアマネージャーや保健師、社会福祉士や認知症地域支援推進員などが相談支援業務に携わっています。そのため、在宅で生活しながら専門家から適切なアドバイスを受けて過ごせるようになり、より安心して住み慣れた地域で暮らせるようになるのです。
事業4.権利擁護
4つ目は、権利擁護です。介護が必要な状態になってしまうと、今まで自分でできていたことが自立して行えなくなってくる場合もあります。それによって、大切な財産や自分自身の体といった高齢者の権利に、危害が加えられてしまう危険性があるのです。
高齢者たちが安心して生活できるように、センターでは成年後見人制度についての情報提供を行っています。この制度を利用することで、預貯金や不動産といった財産を信頼できる人に委託できるようになるのです。
また、地域包括支援センターでは、介護を受ける過程で起こりうる虐待や詐欺などの消費者被害を予防することにも務めています。これらの被害を早期発見したり、必要に応じて施設への入所を進めたりするなど、財産以外でも高齢者の権利を守るための施策をとっているのです。
地域包括ケアを取り入れるメリット
地域包括ケアを取り入れることには、以下の4つのメリットがあります。
- 1.住み慣れた場所で長く生活できる
- 2.介護者の負担を軽減できる
- 3.地域の実情に合った介護サービスを提供できる
- 4.要介護者の増加を抑制できる
これらのメリットがあることを知っておけば、安定した老後生活を過ごすためにこの仕組みが必要であると理解できるようになるでしょう。ここからは、地域包括ケアを取り入れるメリットについて、詳しく説明します。
メリット1.住み慣れた場所で長く生活できる
1つ目は、住み慣れた場所で長く生活できることです。高齢者の状況によっては、今まで暮らしていた地域から離れて生活することを余儀なくされる場合もあります。
しかし、この制度を取り入れることによって、自宅で生活しながらもさまざまな方面から高齢者を支える仕組みが整うようになるのです。それによって、要介護状態になるのを予防したり、介護度の悪化を防ぎながら、より長く住み慣れた場所で暮らせるようになると期待されています。
メリット2.介護者の負担を軽減できる
2つ目は、介護者の負担を軽減できることです。高齢者の抱えている問題を明らかにして、安心して暮らせるような仕組みを整えることで、高齢者本人だけでなく介護者の負担減少にもつながります。
具体的には、福祉用具を貸し出したり、住宅を改修する提案をしたりするなどの方法があります。これらを活用することで、関係各所が連携しながら、介護生活を送る上での障壁を少しでも減らし、高齢者の生活を支えられるようになるのです。
メリット3.地域の実情に合った介護サービスを提供できる
3つ目は、地域の実情に合った介護サービスを提供できることです。医療機関や介護施設の数だけでなく、そこで働く職員数や介護が必要となる高齢者数など、地域によって介護の実情が変わってきます。これらの状況にあった施策がとれなければ、日本全国で画一的な介護システムが提供されるようになってしまい、高齢者の暮らしやすさに地域差が出てしまいかねません。
地域包括ケアによって、介護に対する施策が行政から自治体へと移行されるようになると、地域で暮らす高齢者のニーズや、高齢者を支える関係各所の実態に即した介護サービスが提供できるようになります。それによって、地域で暮らす高齢者たちがより安心して生活できるようになると期待できるのです。
メリット4.要介護者の増加を抑制できる
4つ目は、要介護者の増加を抑制できることです。限られた資源の中で高齢者たちを支えていくためには、要介護状態となる高齢者を少なくする必要があります。地域包括ケアを取り入れることによって、健康寿命を延ばせるような取り組みを活性化させれば、できるだけ長く高齢者に自立した生活を送ってもらえるようになるでしょう。
それによって、介護する側の負担を抑えられるようになるだけでなく、高齢者にとっても、生き生きと自分らしく人生を歩めるというメリットがあるのです。少子高齢化が深刻になってくることを見越して、あらかじめこのような施策を取っておくことはとても大切になります。
継続的に仕組みを改善させることが大切
地域包括ケアシステムを取り入れたからといって、永久的に高齢者が安心して暮らせる社会ができるわけではありません。高齢者が受けている介護サービスが適切なものであるか、地域で発生している課題が解消されているかということを常に振り返り、より良い施策へと改善する必要があるのです。
高齢者のニーズをタイムリーに把握するのはもちろん、介護サービスを提供する側も関係各所と定期的に会議を行い、高齢者にとってさらに住みやすい社会となるよう、改善策を考えていくことが大切になります。
まとめ
本記事では、地域包括ケアシステムの概要や必要になる理由、地域包括ケアを取り入れるメリットなどについて、詳しく説明しました。地域の実態に則した仕組みを整備するためには、まだまだ課題はたくさんありますが、介護する側と高齢者で、できることから取り組んでいくのが大切です。
あなぶきの介護では、地域包括ケアや将来の介護生活についての疑問を解決できるよう、介護相談もおこなっています。また、訪問介護やデイサービスなど、高齢者が安心して生活できるようなサービスも提供しています。予約をすることで、スムーズにご案内できるようになるため、まずは「来場予約」から、お気軽にご連絡ください。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝
2011年 4月 入社 事業推進部 配属
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長