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お役立ちコラム
2021年9月1日
介護タクシーを外出に活用!料金や介護保険を使った利用法を解説
介護タクシーは、身体の不自由な方が利用できるタクシーです。通院手段に困る方や、移動時の介助が必要な方も活用されています。こちらの記事では、介護タクシーと福祉タクシーとの違いや料金について解説していきます。介護保険を使った利用法などもぜひ参考にしてください。
目次
介護タクシーは「訪問介護サービス」のひとつ
介護タクシーは、介護保険法における「訪問介護サービス」のひとつにあたります。
訪問介護とは、訪問介護員が利用者さんの居宅を訪問し、生活支援や身体介護をおこなうサービスのことです。訪問介護サービスのひとつである「通院等のための乗車または降車の介助(通院等乗降介助)」に利用するタクシーを、介護タクシーと呼びます。
介護タクシーの運転手は、介護に関する資格を保有しています。そのため、必要に応じ、外出前後の介助も依頼できるのが大きな特徴です。
介護保険適用と保険適用外がある
介護タクシーには、介護保険が適用されるものと保険適用外のものがあります。両者とも、車椅子やストレッチャーのまま乗降できるという点は変わりません。大きく異なるのは、利用対象や目的、サービス内容などです。
介護保険が適用される介護タクシーは、運転手が有資格者であり、乗降時の介助がおこなえることが特徴です。利用対象や目的、サービス内容は介護保険で規定されています。
一方、保険適用外の介護タクシーは、利用対象や目的、サービス内容に規定はありません。利用料金は全額実費となるものの、利用される方に幅広いニーズに対応できます。ただし、運転手は必ずしも有資格者とは限らないため、状況に応じた事前確認が必要です。
運転手は介護の有資格者
介護タクシーの運転手は、介護の有資格者です。介護保険が適用されるタクシーのドライバーには、介護職員初任者研修の修了が義務付けられています。
介護職員初任者研修は、介護の入門編ともいえる資格です。介護職員初任者研修すると、利用者さんの身体に直接触れる「身体介護」をおこなえます。タクシーに乗る前に着替えを介助したり、必要に応じて排泄介助をおこなうことも可能です。
車両は車椅子の方も利用できるものが多い
介護タクシーの車両は、リフトやスロープのついたワンボックスタイプが主流となっています。車椅子から降りることなく、安全にタクシーに乗り込むことが可能です。また、助手席のシートが90度回転し、車椅子から助手席へと安全に移動できるタイプの車両もあります。
また、寝台車タイプのタクシーは、ベッドに横になったまま乗り降り可能な車両です。寝たきりの方でも、身体への負担を最小限にとどめながら安全に目的地まで移動できます。
通院目的の利用は医療費控除の対象になる
通院目的で利用した介護タクシーの費用は、医療費控除の対象となります。医療費控除とは、1年間に支払った医療費の金額に応じ、税金が軽減される制度です。具体的には、以下のケースが医療費控除の対象とみなされます。
- 医療機関への通院および入退院、転院に利用した場合
- 医師が認めた針治療やマッサージのための通院に利用した場合
医療費控除の申告時は、料金明細の記入が必要です。介護タクシーを利用した際は、領収書を保管しておくように心がけましょう。
介護タクシーと福祉タクシーの違いとは
介護タクシーの利用を検討する際、福祉タクシーとの違いを疑問に感じることもあるのではないでしょうか。
前述したように、介護タクシーは「通院等乗降介助」に使用するタクシーを指します。運転手は介護資格を持ち、乗降時だけでなく乗降前後の介助も可能です。
一方、福祉タクシーは福祉車両全般を指します。高齢者や障がいのある方など、身体の不自由な方がスムーズに乗降できるタイプのタクシーです。
運転者は必ずしも介護資格を有しているわけではなく、乗降時の介助はできないことが介護タクシーとの大きな違いだといえます。乗降時のサポートは、家族や付添人がおこなわなくてはいけません。
市区町村によっては、福祉系移送サービスをまとめて「福祉タクシー」または「ケアタクシー」と呼ぶこともあります。
介護保険適用の介護タクシーの内容や注意点
自己負担額を軽減したい方にとって、介護保険適用の介護タクシーは大きなメリットがあります。運転手も介護の有資格者のため、安心して乗り降りできることもポイントです。
ただし、利用対象や目的、サービス内容は介護保険制度で規定された範囲内に限られます。そのため、自分が利用対象にあたるのか、ニーズを補えるかどうかを考えながら利用を検討することが大切です。
利用対象と目的
介護保険適用の介護タクシーの利用対象者は、以下の方に限られます。
- 要介護1から5に認定されている方
- 自宅やケアハウス、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅で生活している方
- 1人でバスや電車などの交通公共機関を利用できない方
さらに、要介護認定者であっても、介助なしで車両に乗降できる場合は介護タクシーを利用できません。あくまでも、1人での移動に介助が必要な方が対象です。また、対象目的は以下のような外出に限られています。
- 通院(リハビリ目的を含む)
- 預貯金の引き出し
- 補聴器や眼鏡の購入、調整など本人が行く必要がある買い物
- 選挙の投票
- 本人が行く必要がある役所への届け出
あくまでも日常生活上に必須となる外出が対象であり「友人のところへ出かけたい」「家族と旅行をしたい」といった目的は対象外です。趣味や仕事、娯楽のために外出する場合は、介護保険外のタクシーの活用を検討しましょう。
サービス内容
訪問介護サービスのひとつである介護タクシーでは、以下のようなサービスが提供されます。通院に介護タクシーを利用する例を参考に、具体的な内容を確認していきましょう。
- 外出準備(更衣、靴をはくなど)
- タクシーまでの移動や乗降時の介助
- 受付や会計、薬の受け取り
- 帰宅後の着替えやオムツ交換
実際には、これらのサービス内容から本人に必要なものを選択していきます。外出先や要件によってどのような介助が必要になるのか、ケアマネジャーとよく相談して決定しましょう。
利用方法
介護タクシーの利用を希望する際は、まずはケアプランを作成するケアマネジャーに相談しましょう。介護保険を使う場合、どのようなサービスであってもケアプランに組み込む必要があるからです。
相談後は、地域のサービスを熟知したケアマネジャーが、本人や家族に適切だと思われる事業所を紹介してくれます。利用者本人は、事業所の見積もり内容に納得したうえで契約、手続きを完了。その後に事業所のサービスが開始する流れとなります。
利用時の注意点
自己負担額が軽減できたり、介助が受けられたりとメリットが大きな介護タクシーも、利用時には以下のような注意点があります。
- 原則として家族は同乗できない
- 病院内での介助はできない
- 身体介護や生活援助に切り替わることもある
単なる移動手段ではなく、介助が目的の介護タクシーには家族は同乗できません。介助できる家族がいるのであれば、利用が必要ないとみなされるからです。ただし、特別な事情があると市区町村が判断した場合は、同乗が認められるケースもあります。
また、運転手は病院内での介助おこなえません。病院内の移動に介助が必要だったり、認知症を発症したりしている場合は例外となるケースもあるため、ケアマネジャーに相談しましょう。
さらに、運転手による介助量が多い場合は「身体介護」や「生活援助」にサービス内容が切り替わる場合があります。サービスによって自己負担額も変わるため、必要な介助が多い場合は事前によく確認しておきましょう。
介護保険外の介護タクシーの内容や注意点
介護保険適用の介護タクシーでニーズが補えないときは、介護保険外の介護タクシーの利用を検討してみましょう。介護保険外のタクシーは全額自己負担ではあるものの、サービス内容が柔軟なことがメリットです。
介護保険適用のタクシーと同様の福祉車両のため、車椅子の方や身体が不自由な方も安全かつスムーズに外出できます。
利用対象と目的
介護保険外の介護タクシーは、要介護認定を受けた方だけでなく、要支援認定の方も利用できます。また、家族も同乗可能です。利用目的には規制がなく、介護保険では適用外となる以下のようなケースにも活用できます。
- 仕事や趣味、旅行娯楽のための外出
- 冠婚葬祭による外出
- 理美容のための外出
- 日用品以外の買い物のための外出
- 病院の入退院や転院にかかわる一時的な利用
サービス内容
利用目的に規制がないように、サービス内容にも限りはありません。ただし、運転手が必ずしも介護の有資格者とは限らないため、介助サービスを受けたいときは事前確認が必要です。
全額実費のため高額になりますが「要介護状態の家族と一緒に旅行に行きたい」といったニーズも、介護保険外タクシーなら叶えることができるでしょう。
利用方法
介護保険外のタクシーも、まずはケアマネジャーに利用を相談するのがおすすめです。料金設定や運転手の人柄、スキルは事業所によって違うもの。ケアマネジャーの紹介であれば、よりニーズや予算に応じた事業所を選択できます。
事前に出してもらった見積もりも、内容に問題がないかケアマネジャーとよく確認しておきましょう。特に、今後定期的に利用したい場合は、事業所の体制や運転手の人柄を含めしっかり検討することが大切です。
利用時の注意点
前述したように、介護保険外のタクシーは、必ずしも運転手が有資格者ではありません。そのため、介助が必要な方がひとりで外出する際は注意が必要です。
「これくらいは手を貸してもらえるだろう」と考えていても、必要な介助を受けられないケースがあります。ケアマネジャーに相談しながら、介護保険を使うのか、使わないのかを判断していきましょう。
料金内訳は「運賃」「介助費用」「介護器具レンタル料」
介護タクシーの料金は、通常のタクシーのように運賃だけではありません。利用時は、以下の3つを合計した金額を支払う必要があります。
- 内訳1.運賃
- 内訳2.介助費用
- 内訳3.介護器具レンタル料
注意しなくてはいけないのは、介護保険が適用されるのは「介助費用」だけであることです。その他は実費となり、事業所によって金額設定が異なることも覚えておきましょう。
内訳1.運賃
介護タクシーの運賃は「時間制運賃」と「距離制運賃」の2つにわかれます。
時間制運賃は、乗車時間ごとに料金を計算する方法です。「30分ごとに1,000円」のように、時間に応じた料金が設定されています。
距離制運賃は、乗車する距離によって料金を設定します。「乗車してから2km以内は750円。その後1kmごとに300円」など、一般のタクシーと同水準のメーター料金であることが特徴です。
内訳2.介助費用
介護保険サービスである「通院等乗降介助」にあたる料金です。自己負担額は約100円から300円で、行きと帰りの往復分計2回カウントされます。
介護保険外タクシーの場合、基本介助料500円から1,500円の自己負担が必要です。そのほか、屋外や室内、病院内で介助が必要な場合は個別の介助料金が設定されています。
内訳3.介護器具レンタル料
介護タクシーの事業所には、車椅子やストレッチャーといった介護器具が準備されています。事業所によって、酸素吸入セットのような医療機器の貸し出しも可能です。
車椅子のレンタル料は無料または1,400円。ストレッチャーは4,000円から6,000円が主な料金です。事業所によって料金設定が異なるため、見積もり時によく確認しておきましょう。
介護タクシーを探すときのポイント
介護タクシーは、事業所によって料金設定や運転手のスキルが異なります。そのため、事業所を探すときは、サービスを熟知したケアマネジャーに相談するのがおすすめです。
また、自分で介護タクシーを探すときは、インターネットで地域の事業所を検索するという方法もあります。市区町村のホームページに福祉タクシーに関する情報が掲載されている場合もあるため、窓口の担当者に相談してみてもよいでしょう。
個々のニーズに合った介護タクシーを活用しよう
介護タクシーは、要介護者や障がいのある方の外出をサポートするものです。介護保険適用の介護タクシーであれば、有資格者の介助を受けられ、費用をより軽減できます。
介護保険外のタクシーは全額実費ではあるものの、利用の幅が広がることが特徴です。利用時はケアマネジャーに相談し、料金やサービス内容に納得したうえで、個々のニーズに合った介護タクシーを活用していきましょう。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝
2011年 4月 入社 事業推進部 配属
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長