お役立ちコラム

在宅介護サービスにはさまざまなバリエーションがあります。要介護の状態に応じて適切なサービスを活用すれば、本人も介護者も負担を減らせるでしょう。また介護保険以外でも使えるサービスがあります。今回の記事では在宅介護を支援するサービスを活用する方法や種類を詳しく解説します。

在宅介護サービスを受ける方法

在宅介護サービスとは、要介護者が在宅で利用できるサービスのことです。このサービスを受けるためには、大まかに以下の2つの手順を経る必要があります。

  • 手順1.要介護認定を申請する
  • 手順2.ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう

在宅介護サービスを利用するための、それぞれの手順を見ていきましょう。

手順1.要介護認定を申請する

まずは、要介護認定を受けることが必要です。そのためには、以下のような流れで進めます。

【市区町村に申請】

要介護認定を受ける方が住んでいる各市区町村の窓口に申請します。原則は本人が行いますが、入院等でできない場合は家族が代理を努めます。

【訪問調査】

市区町村の認定調査員が、対象者の心身の状態や生活状態、家族や住まいの状況をヒアリングします。

【主治医意見書の作成】

市区町村が、かかりつけの主治医に意見書作成を依頼します。かかりつけ医がいない場合は、市区町村の指定医師が診察し、意見書を書きます。

【1次判定】

過去の実験による研究データ「要介護認定等基準」をもとに、訪問調査と主治医意見書の情報に基づいてコンピュータが審査します。

【2次判定】

1次判定で出た結果をベースにして、学識経験者で構成される「介護認定審査会」が包括的に判断します。

【認定結果通知】

認定調査の完了後、市区町村によって申請日からおおむね30日以内に介護認定結果通知書が送付されます。

手順2.ケアマネにケアプランを作成してもらう

利用する介護サービス業者、あるいは入居する介護施設の担当のケアマネジャー、もしくは地域包括支援センターのケアマネ(ケアマネジャー)にケアプランを作成してもらいます。

この際には本人や家族の望む生活の意向を伝え、ケアプランに反映するよう作成してもらいます。受けるサービスに希望があれば、ケアプラン作成時に伝えておくことが大切です。

ケアマネジャーと良好な信頼関係を築くことで、より満足度が高いサービスを受けられます。

訪問型介護サービスの種類

訪問型介護サービスとは、利用者が自宅にいながらにして受けられるサービスです。これには以下の7種類があります。

  • サービス1.ホームヘルプサービス
  • サービス2.訪問看護
  • サービス3.訪問リハビリテーション
  • サービス4.訪問入浴介護
  • サービス5.夜間対応型訪問介護
  • サービス6.定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • サービス7.居宅療養管理指導

個別に見ていきましょう。

サービス1.ホームヘルプサービス

ホームヘルプサービスは訪問介護とも呼ばれており、在宅介護を包括的にサポートしてくれるサービスです。買い物などの日常的な家事や衣服の着脱、排泄や入浴をホームヘルパーが介助してくれます。

ただし、要介護者の身体介護・生活援助に限定され、洗濯なども要介護者の家族の分はできません。原則的に要介護1〜5の方が対象ですが、要支援認定を受けている場合は「介護予防訪問介護」という形で利用可能です。

サービス2.訪問看護

訪問看護では、訪問看護ステーションなどに所属する看護師や保健師、助産師などが利用者の自宅を訪問します。このサービスを受けるためには主治医による看護指示書が必要です。

要介護1〜5の方だけでなく、要支援1〜2の方も利用できます。

栄養や食事の指導、健康チェック、口腔ケア、褥瘡の予防・処置、膀胱留置カテーテルの管理など利用者の状態にあわせて主治医が指示を出します。ホームヘルプサービスよりも医療サービスに重点を置いたサービスです。

利用者の病状によっては、医療保険による訪問が行われます。

サービス3.訪問リハビリテーション

訪問リハビリテーションは理学療法士・言語聴覚士・作業療法士が、要介護者や要支援者の自宅でリハビリをおこなうサービスです。リハビリスタッフの所属先には、病院や老人保健施設、訪問看護ステーションなどがあります。

失語症の機能回復訓練や離床促進、寝返りや歩行、起き上がりなどの訓練など、在宅生活を継続しながら本格的なリハビリ支援を受けられるサービスです。利用するためには主治医による訪問リハビリ指示書(訪問看護ステーションの場合は訪問看護指示書)が必要となります。

要支援1〜2および要介護1〜5のすべての方が利用可能です。

サービス4.訪問入浴介護

訪問入浴介護は看護師1名を含む3名もしくは2名のスタッフが、要介護者あるいは要支援者の自宅に訪問し、入浴をサポートしてくれるサービスです。入浴には、専用の浴槽が持ち込まれます。また入浴せず、身体を拭くだけのサービスも受けることが可能です。

さまざまな要因により、自力での入浴が困難な方のためのサービスとなります。要支援1〜2および要介護1〜5のすべての方が利用可能です。

サービス5.夜間対応型訪問介護

夜間の決まった時間に担当ヘルパーが要介護者の自宅を定期巡回してくれるサービスが、夜間対応型訪問介護です。緊急の場合に通報できるオペレーションサービスもあり、万が一の事態への備えとなり安心できるでしょう。

他のサービスと組み合わせて、必要に応じて24時間体制のサポートも受けられます。サービス対象者は要介護1〜5の方です。

サービス6.定期巡回・随時対応型訪問介護看護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、看護と介護が連携し、利用者の自宅を24時間定期的に巡回してくれるサービスです。

通報を受けてばすぐに駆けつけてくれる、緊急時に対応できるサービスも付いています。サービス対象者は要介護1〜5の方です。

サービス7.居宅療養管理指導

医師や歯科医師、栄養士、薬剤師などがそれぞれの観点から療養上の管理や指導を行うのが、居宅療養管理指導です。

医師が直接自宅を訪問する点が、訪問看護や訪問リハビリテーションと大きく異なります。入院や入所を検討する状態の方が対象で、要支援1〜2および要介護1〜5のすべての方が利用可能です。

通所型介護サービスの種類

通所型介護サービスは、利用者が介護施設に通って受けられるサービスです。これには、以下の5種類があります。

  • サービス1.デイサービス
  • サービス2.デイケア
  • サービス3.認知症対応型デイサービス
  • サービス4.地域密着型通所介護
  • サービス5.療養通所介護

それぞれのサービスを見ていきましょう。

サービス1.デイサービス

デイサービスは、通所介護とも呼ばれています。日帰りでデイサービスセンターなどの施設に通い、レクリエーションや生活介護などを受けられるサービスです。

どちらかといえば生活の向上を目指したもので、通所型の中核的サービスともいえるでしょう。外出で運動不足の解消や気分転換につながり、生活リズムを整える効果が期待できます。

サービス2.デイケア

デイケアは、通所リハビリテーションや通所リハビリとも呼ばれます。主治医が決めた施設などに通って、定期的にリハビリなどを受けるサービスです。他のデイサービスと違うのは、医療的ケアに重点が置かれているところにあります。

医師・看護職員・作業療法士・理学療法士・言語聴覚士などが担当します。要支援1〜2および要介護1〜5のすべての方が利用可能です。なお、集団で行うものと個人で行うものとがあります。

サービス3.認知症対応型デイサービス

認知症対応型デイサービスは、認知症の利用者にフォーカスしたサービスです。認知症の持つ特性に配慮したケアが受けられます。

このサービスの利用にあたっては、医師による認知症の判断が必要です。要支援1〜2および要介護1〜5のすべての方が利用可能です。

サービス4.地域密着型通所介護

地域密着型通所介護は、定員が18人以下の小規模なデイサービスセンターで受けられるサービスです。入浴介助や食事の提供をはじめ、さまざまな生活支援サービスを受けられます。

専従の看護師が設置されているため、健康チェックや薬の内服管理、けがの処置なども受けられます。要介護1〜5の方が対象となっている場合が多いです。

サービス5.療養通所介護

療養通所介護は、介護および医療が常に必要な要介護1〜5の方向けの通所サービスです。訪問看護を担当する看護師からのケアを通所でも受けることが可能なため、利用者としても安心度が高いサービスといえるでしょう。

通所介護の施設で機能訓練などの医療的なサービスや食事などのサポートを受けられ、家族の負担軽減が期待できます。

宿泊型介護サービスの種類

訪問型や通所型の他にも、宿泊型介護サービスがあります。いつもは訪問型や通所型を利用していても、家族が何らかの事情で一時的にケアできないときや、施設に入所する予定日までのつなぎとして活用されます。緊急時の宿泊対応も可能です。

種類は以下の2つです。

  • サービス1.ショートステイ
  • サービス2.医療型ショートステイ

それぞれについて見ていきましょう。

サービス1.ショートステイ

これは短期入所生活介護とも呼ばれる、各種の介護施設に短期で入所して受けるサービスです。ショートステイは短期的に利用するためのものなので、1日から利用できます。

利用者ができるだけ自宅で自立した生活を営めるように、短期間の入所の間に必要なサービスをピンポイントで受けることが基本です。レクリエーションや入浴、食事などの生活支援も用意されており、要介護1〜5の方が利用可能です。

なお、要支援1〜2の方も「介護予防短期入所生活介護」という形で同様のサービスを受けられます。

サービス2.医療型ショートステイ

医療型ショートステイは、短期入所療養介護とも呼ばれています。療養病床を持つ病院や介護老人保健施設などの医療施設に短期間入所し、必要な介護や医療的な管理を受けられるサービスです。

ショートステイと基本的には同じですが、医療的な要素が強いため、在宅療養に不安がある方が多く利用しています。要支援1〜2および要介護1〜5のすべての方が利用可能です。

その他チェックしておきたい介護サービス

最後に、その他のチェックしておきたい介護サービスについて触れておきます。要介護者や要支援者の在宅生活を助け、自立を支えるために有用なので、ぜひ知っておきましょう。

ここでは以下の3種類を紹介します。

  • サービス1.介護保険による福祉用具レンタルや購入
  • サービス2.介護保険による住宅改修
  • サービス3.市区町村の介護予防・生活支援事業

サービス1.介護保険による福祉用具レンタルや購入

介護用品は、購入すると高額です。福祉用具を利用する場合は、介護保険を利用してレンタルや購入ができるので、自己負担を抑えられます。特にベッドやマットレスなどは、利用者の身体状況に合わせて入れ替えが可能なので、上手に活用しましょう。

入浴補助具や腰掛便座などを利用する方も多いです。「必要かな」と思ったら、まずは担当ケアマネジャーに相談してみてください。

基本的には要支援1〜2および要介護1〜5のすべての方が利用できます。一部の商品によっては介護度が高い方に限定されるものもあるので、事前に確認が必要です。

サービス2.介護保険による住宅改修

在宅介護の場合には、自宅での時間を安全で快適なものにするバリアフリー化も重要です。具体的には手すりを取り付けたり、転倒を避けるために段差を無くしたりなどのリフォームなどが挙げられます。

これらリフォーム費用の7〜9割を介護保険で補填できるサービスがあります。バリアフリー工事を検討する場合には、ケアマネジャーに相談してみてください。支給の上限は20万円であることや、工事の前に申請が必要な点など、注意しましょう。

要支援1〜2および要介護1〜5のすべての方が利用できます。

サービス3.市区町村の介護予防・生活支援事業

市区町村によっては、訪問理容やおむつの支給、散歩の付き添いなどさまざまな介護予防・生活支援事業を行っているところがあります。

またNPOやボランティア団体などでも、各種の支援サービスを提供しています。これらは介護保険外のサービスなので費用は全額自己負担ですが、費用が納得できる場合は検討してみましょう。

在宅介護で使えるサービスを最大限に活用しよう

今回は在宅で利用できる介護サービスを詳しく紹介しました。サービスには多くの種類があるため、介護や支援を必要とする本人と家族の状況や希望に応じて、上手に使い分けるのがよいでしょう。

介護保険サービスには、負担を抑え、利用価値が大きいものがたくさんあります。事前によく調べて最大限に活用しましょう。

あなぶきの介護は、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、介護付き有料老人ホームを運営しております。自宅に居ながら無料相談ができるオンライン入居相談のサービスをご利用頂き、お気軽にご相談ください。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝

2011年 4月 入社 事業推進部 配属 
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長