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お役立ちコラム
2024年3月15日
高齢者の一人暮らしの問題点は?対策や見守りサービスについて解説
高齢者の一人暮らしは実に65歳以上の4人に1人を超え、今後も増えていくと考えられています。高齢者の一人暮らしには、若い人とは異なるリスクへの注意が必要です。しかし、若い人にとって、このリスクは想像しにくいところがあるかもしれません。
この記事では、高齢者の一人暮らしで起こりがちな問題点と対策を解説します。選択肢の一つとしての介護施設への入居についても紹介するので、参考にしてください。
一人暮らしの高齢者によくある問題点
一人暮らしをしている高齢の親の暮らしについて、今後を考えることもあるでしょう。しかし、若く元気だった頃の姿が浮かび、「まだ大丈夫だろう」と不安を打ち消してしまうかもしれません。しかし親は年齢を重ね、当たり前にできたことも次第にできなくなるものです。
ここでは、一人暮らしの高齢者によくある問題点を、より客観的に解説していきます。
栄養バランスが悪くなりやすい
栄養バランスの良い食事は、健康的な暮らしになくてはならない要素です。家族や友人などと一緒にとる食事は、他愛のないおしゃべりや楽しい雰囲気などから気持ちの上でも満たされます。食べるものもおいしく感じられるでしょう。しかし、高齢者の一人暮らしは、どうしても栄養バランスは悪化しやすい傾向です。
身体機能が低下するほど、外食や新鮮な食材の買い物に行きづらくなります。また、自炊も億劫になり、調理や片付けが難しくなりがちです。
偏った栄養の食事は、高血圧や脳梗塞などの病気につながりかねません。加齢とともに食が細くなってしまい、体全体が衰えてしまうこともあり得ます。
怪我や病気への対応が難しくなる
誰かと一緒に暮らしていれば、一人でいるときに転倒して怪我をしたり、病気で具合が悪くなったりしても気づいてもらえるでしょう。しかし一人暮らしでは、来てくれる人がいなければ、いつまでも気づいてもらえないかもしれません。自力で病院に行くのはもちろん、救急車を呼ぶことさえ難しいこともあり得ます。
暑い日の熱中症や、冬の気温差によるヒートショックなど、気をつけなくてはならないことは山ほどあります。
自然災害発生時の対応が難しくなる
日本は、台風・大雪・水害・地震・噴火など自然災害が発生しやすい国といえます。多少の災害なら家でじっとしていれば良いかもしれません。しかし避難が必要なレベルになると、高齢者には対応できなくなることもあります。
足腰が弱った高齢者は、迅速な避難は難しいでしょう。無事に避難所へ避難できても、環境が悪ければ持病が悪化したり、別の病気を発症したりする可能性もあります。
社会との関わりが減る
一人暮らしの高齢者が抱える問題の一つが、社会との関わりが減ってしまいがちな点です。
たとえば、心肺機能が低下すると疲れやすくなります。足腰が弱っていれば、外出が難しくなるでしょう。そうすると、自宅で過ごす時間が多くなり、社会との関わりが減ってしまいます。場合によっては、地域社会の中で孤立しかねません。
家の手入れやメンテナンスが難しくなる
ひと口に「一人暮らし」と言っても、住む家の大きさはそれぞれです。住まいがワンルームやコンパクトな平屋というケースもあるでしょう。なかには、築年数の古い二階建ての戸建てというケースもあります。高齢者の一人暮らしだと、大きい家ほど手入れやメンテナンスが行き届かず、適切な維持が難しくなります。
使わなくなった部屋が物置状態になってしまったり、庭の草むしりや細かい掃除ができなくなったりするといったことはその代表です。
十分に手入れできないと居住空間が不衛生になり、感染症などの病気のリスクが高まったり、床にあるものにつまずいて転倒したりといった危険も生じます。
認知症が発症・進行しやすくなる
一人暮らしの高齢者は、社会との関わりが減りがちです。一緒に暮らす人がいれば、ちょっとした変化に気づいてもらえるかもしれませんが、一人暮らしでは難しいでしょう。認知症は、自覚することが難しい病気です。一人暮らしで発症してもそうと気づかず放置され、いつの間にか進行してしまう恐れがあります。
鍋を火にかけたまま忘れてしまったり、出血に気づかずに放置してしまったりと危険なことばかりです。人知れず認知症を発症すると、いつこのような事態に陥っても不思議ではありません。
詐欺や犯罪に巻き込まれやすくなる
高齢者は、詐欺事件などの犯罪に巻き込まれやすい傾向です。たとえば通りを歩いていて持っているバッグをひったくられても、身体機能が低下していれば若い人のように追いかけることはできません。通りを歩いていても、他者と一緒なら回避できる可能性があります。
また、特殊詐欺やネット詐欺のターゲットになりやすいのも現実です。とくに一人暮らしでは、相談できる人がそばにいません。正常に判断できず、相手のいいなりになってしまうことも多いようです。やはり、「高齢者」であることと「一人暮らし」であることが狙われる理由といえるでしょう。
一人暮らしの高齢者が安全に暮らすための対策
高齢者の一人暮らしには、さまざまな問題やリスクがあります。安全で安心して暮らすためには、適切な対策が必要です。高齢者を対象としたサービスも多いため、好みや利用の条件、費用など状況に合ったものは見つけやすいといえます。
ここでは一人暮らしの高齢者が、安心して暮らすために利用できる対策をみていきましょう。
家族と近居をする
一人暮らしであっても、近くに家族や親族といった頼れる存在があれば、気持ちの面で安心できるでしょう。同居よりもプライバシーが守られるため、かえって快適かもしれません。何かのときはかけつけられる距離に近居していれば、高齢者にとっても家族にとっても安心です。
一般的に、高齢者は住み慣れた地域からの転居を避ける傾向があります。家族や親族が住む場所の近くに転居するのもよいのですが、高齢者本人の意向を最優先したいところでしょう。
行政の高齢者見守りサービスを利用する
一人暮らしの高齢者が抱えるさまざまな問題に対応するため、行政が提供している見守りサービスを利用する方法もあります。
たとえば東京都がすすめているのは、市区町村と地域包括センター、そして地域住民が連携して高齢者を見守るネットワークの構築です。都内の各地で自治体が率先して見守りホットラインを設置したり、自治会による高齢者サロンを運営したりして、住み慣れた場所で安心安全の暮らしを継続できるよう支援しています。
行政による高齢者見守りサービスは、地域によって異なる内容です。利用する際は、まず居住する自治体に問い合わせるなどして確認すると良いでしょう。
民間の見守りサービスを利用する
高齢者見守りサービスには、民間が提供するものもあります。内容・性質の異なるサービスも多いため、行政サービスと併用するとさらに安心です。
民間の高齢者見守りサービスには、次のようなものがあります。
- テレビや家電製品などを利用すると自動的にメールが届くセンサー型サービス
- Webカメラで室内の映像を送信する映像見守り型サービス
- 専門スタッフの訪問や、電話を利用した安否確認型サービス
- 遠方でも安否確認できるスマートフォンアプリ利用型サービス
- 緊急時に決められた連絡先に通報する緊急通報システム など
これらのサービスは利用に際し、一定の要件を満たさなくてはならない場合があります。まとまった費用がかかるものもあるため、内容を把握しよく検討することが大切です。
食事配達サービスを利用する
高齢者の一人暮らしで「食事」について心配な場合は、食事配達サービスの利用がおすすめです。
一人暮らしでは食に対する執着が薄くなることも多く、栄養バランスはおろか食事自体を取らなくなることもあります。外出が難しくなれば、買い物に出かけるのも難しくなるでしょう。
食事配達サービスを利用すれば、栄養バランスの整った食事が実現します。また宅配担当者と顔を合わせることは、安否確認はもちろん、高齢者にとっても気分転換にもなるかもしれません。貴重な「他者と接する機会」として、有効活用しましょう。
介護保険を利用する
介護保険を利用すれば、適用の範囲内でさまざまなサービスが自宅で受けられます。たとえば訪問介護や訪問リハビリなら、生活支援やリ専門スタッフによるハビリはもちろん、住み慣れた自宅で気兼ねなくおしゃべりしての気分転換も可能です。通所介護を利用すれば、他の高齢者と接する機会が増えるなど、生活のメリハリがついて楽しみの一つになるかも知れません。
介護保険の利用には、要介護認定のための調査や判定手続きが必要です。利用したいときは、最寄りの地域包括センターや自治体の窓口に相談しましょう。
できるだけ外出の機会を作る
高齢者の一人暮らしでは行動範囲が限られるため、交友関係も狭くなりがちです。周囲への関心が薄れたり、行動の意欲が失われたりするだけでなく、健康状態の悪化や認知症の発症・進行につながりやすくなります。心身とも健康に一人暮らしを続けるためには、無理なく外出の機会を作り、社会に向けた興味を持つことが大切です。
たとえば定期的にかかりつけ医まで通院したり、趣味のサークル活動や地域の高齢者互助コミュニティなどに参加したりすることは、体だけでなく気持ちの上でも刺激になります。毎日の散歩も、外出の一つです。負担にならない程度に、何か続けられることを探すことから始めましょう。
成年後見制度を活用する
高齢者が所有する土地・預金・保険などの資産管理が不安であれば、成年後見制度を活用する方法があります。成年後見制度は、正式に定められた後見人が財産管理や介護または施設への入退所などにおける身上監護によって高齢者本人を保護し、権利が守られるよう支援するための制度です。
成年後見人制度には、すでに判断能力が不十分な人を対象とした法定後見制度と、まだ判断力はあるが将来に備えるための任意後見制度があります。きちんと判断できる今のうちに自身で後見人を選べば、将来の万が一への備えも安心でしょう。
高齢者の一人暮らしが限界になる前に施設入所も検討しよう
本人の強い希望ややむを得ない事情から高齢者が一人暮らしをしていても、将来食事や家事などを含め生活が立ち行かなくなったり、あるいは認知症を発症したりする可能性は十分あります。
もし人知れず限界がおとずれ、万が一のことが起きてしまったら、高齢者本人も家族も後悔することになるでしょう。そうなる前に、より安全で安心できる介護施設への入所の検討をおすすめします。ここでは入所系介護施設のうち、「安全に暮らす」ことに重点を置いた4種類の施設をみていきましょう。
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホーム(「特養」と略される)は、介護が必要な人のために24時間の介護サービスが提供される施設です。入所には条件があり、原則として年齢65歳以上かつ介護保険の要介護認定で「要介護3」以上でなくてはなりません。
逆にいえば、介護度が高い要介護度4または5の高齢者も入所できます。しかし、看護師の24時間常駐は義務付けられていないため、常時医療的ケアを必要とする高齢者の入所は難しい場合もあるようです。感染症を持っていたり、認知症を患っていたりする高齢者も入所の検討が必要とされます。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅(「サ高住」と略される)は、高齢者向けの賃貸住宅の一種です。国土交通省と厚生労働省の共管で、2011年からスタートしました。入居条件が原則として60歳以上とされる以外は、自由度が高いことが特徴です。自宅と同様の暮らしをしながら日中はスタッフによる安否確認でき、必要な介護サービスも利用できます(別途費用が必要)。
サ高住は、要支援1から要介護2までの比較的介護度の低い高齢者が対象です。そのため医師や看護師は常駐していないケースがほとんどで、スタッフによる見守りも日中のみであることが多くなります。サ高住は「健康だけど一人暮らしは不安」という高齢者に向いているといえるでしょう。
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有料老人ホーム
有料老人ホームは、高齢者が食事や洗濯、清掃といった生活支援を受けながら安心して暮らすための施設で、次のとおり特徴ごとに3種類に分かれます。
- 住宅型:比較的介護度の低い高齢者が対象となることが多く、外部の介護サービスと食事や洗濯など基本的な生活支援が受けられる
- 健康型:一般的に健康な高齢者が対象で、介護サービスの提供はなく生活支援も食事や洗濯など基本的なものに限られる(施設によって異なる)
- 介護付き:介護度の高い高齢者も対象に含まれ、施設スタッフの介護サービスがあり、日常生活全般の介助が受けられる
有料老人ホームは、施設ごとにサービス内容が異なり、種類は多岐にわたります。たとえば介護付きタイプには要介護認定されていない高齢者が入所できる「混合型」もあり、健康型にはカラオケルームやフィットネスジムが充実しているものもあるなどさまざまです。入所を検討するときは、施設の特徴を一つずつ確認して、高齢者本人や家族の希望に合うものを選ぶ必要があります。
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高齢者向けシェアハウス
高齢者向けシェアハウスは、一戸建てなどの建物で複数の高齢者が共同で生活する住宅です。一般にバリアフリーなど高齢者が安全に暮らせるための設備が整っており、必要な費用は全員で分担するため比較的抑えやすいといえます。ただし高齢者向けシェアハウスの多くで介護サービスは提供されていないため、自立して生活できる高齢者が対象です。
高齢者向けシェアハウスには、女性専用のものがあったり、高齢者向けのさまざまなセミナーが開催され、社会参加しやすいように高齢者向けのセミナーが開催されたりするものもあります。
安心して高齢者が暮らせるようにサポートしよう
高齢者が一人暮らしをする状況は、近年起こりやすくなっているといえます。ただ高齢者の一人暮らしには、さまざまな問題があるのも現実です。
家族や親族といった頼れる存在が近くにいれば、安心できるでしょう。難しい場合は、行政や民間が提供する見守りサービスや食事配達サービスを利用することをおすすめします。
また万が一のことが起こる前に、介護施設や高齢者向けサービスを利用するという方法もあります。あなぶきの介護では、シニア世代の住まいのカタチを「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」で実現します。より豊かな暮らしを実現するための訪問介護や訪問看護、デイサービスも充実していますので、お気軽にお問い合わせください。
大切なのは、高齢者本人が安全に、安心して暮らせることです。本人の希望を優先しつつ、家族も安心できるよう適切なサポートのあり方を検討してみてください。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝
2011年 4月 入社 事業推進部 配属
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長