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お役立ちコラム
2025年1月15日
要介護3とは?受けられるサービスや限度額、ケアプラン例を紹介
要介護3は、日常生活において全面的に介助が必要な状態です。この段階では、日常生活の多くの場面で介助が必要となるものの、適切なサポートを受けることで自宅での生活を送れるケースもあります。
本記事では、要介護3の具体的な状態や認定基準、要介護2や4との違いについて詳しく解説します。また、利用できる介護保険サービスや支給限度額、実際のケアプラン事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
要介護度について
要介護度とは、日常生活においてどれくらい介護が必要かを客観的に数値化したものです。厚生労働省が定める「要介護認定等基準時間」を基にしており、要介護度によって介護保険から給付される金額や受けられるサービスが異なります。
要介護度は、自立から要支援1・2、要介護1~5に分類され、段階ごとに必要な支援の度合いが異なります。要支援と要介護の違いは、次のようなものです。
- 利用できるサービスの種類
- 介護保険サービスの申請方法
- 本人の身体状況
要支援・要介護の認定を受けるためには、次のステップを経る必要があります。
- 申請
- 認定調査
- 結果通知
初回認定の有効期間は原則6か月です。その後は更新手続きが必要なため、忘れずに行いましょう。要介護度や要支援と要介護の違い、要支援・要介護認定を受けるまでの流れについては、次の記事で詳しく紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。
要介護1とは?利用可能なサービスや限度額、要支援2・要介護2との違いを解説
要介護2とは?認定基準や利用できるサービス、他の要介護度との違いを解説
要介護3の状態とは
要介護3は、日常生活において全面的に介護が必要な状態を指します。介護者の手助けが不可欠となる場面が増えるため、適切な介護サービスの利用が重要です。ここでは、要介護3の状態や認定基準について解説します。
要介護3の状態
要介護3とは、日常生活において全面的な介助が必要な状態です。この状態では、自分だけで日常生活を送ることが難しく、人の手を借りて生活を送ることになります。
具体的には、立ったり歩いたりすることが困難であるため、移動には介助が必要です。また、食事や着替えに加えて、排泄や歯磨きなどの日常的な動作でもサポートが求められます。
要介護3の認定基準
要介護認定は、「要介護認定等基準時間」(厚生労働省が定めた基準)に基づき判定されます。基準時間とは、日常生活の中で必要な介護サポートに要する時間を示したもので、以下の項目を総合的に評価して算出されます。
- 本人の能力
- 介助方法
- 障がいや認知症の有無
要介護3と認定されるためには、要介護認定等基準時間が70分以上90分未満の介護が必要と判断された場合に認定される可能性があります。
前述したように、認知症の進行具合なども判断基準の1つです。厚生労働省「2022年(令和4年)国民生活基礎調査の概況」によると、要介護3の人の「介護が必要となった主な原因」の1位は認知症で、全体の約3割を占めています。認知症が進行し、徘徊や妄想、奇声を上げるなどの症状があり、常に対応が必要な場合も要介護3と認定されることがあります。
なお、要介護認定を受けても、障害者として認定されるわけではありません。認定は介護の必要性に基づくものであり、障害者認定とは異なるため、根拠となる法律も異なります。
ただし、一部の自治体では要介護状態を障害者控除の認定基準に含める場合もあるため注意しましょう。
参考:厚生労働省「2022年(令和4年)国民生活基礎調査の概況」
要介護2と要介護4との違い
要介護3と要介護2、要介護3と要介護4との違いについても理解しておきましょう。それぞれ必要なサポートの程度が異なるため、それに応じた適切な介護サービスを選ぶことが重要です。
要介護2との違い
要介護2では、日常生活における介助を必要とするシーンが限定されており、比較的自立した生活が可能です。一方、要介護3では日常生活における多くのシーンで介助が必要となります。
また、要介護3では理解力も要介護2と比べてさらに低下しているため、日常生活を送るうえでのサポートがより重要性を持ちます。
要介護4との違い
要介護3では日常生活において全面的な介助が必要ですが、要介護4では介助がないと日常生活が成り立たないほど自力での生活が困難です。さらに、要介護4では判断能力の低下が著しく、意思疎通が難しくなる場合が多く見られるため、常に介助が欠かせません。
要介護3でも一人暮らしは可能?
日常生活において全面的な介助が必要な要介護3でも、サポート次第で一人暮らしが可能なこともあります。しかし、介助が必要なほか、理解力や記憶力、判断力も低下している方が多いため、安全面を考慮すると一人暮らしはおすすめできないでしょう。
ただし、後述する要介護3で利用可能な訪問介護(ホームヘルプサービス)や通所介護(デイサービス)をうまく活用して介護体制をしっかりと整えられれば、一人暮らしが可能となるケースもあります。
要介護3で利用できる介護保険サービス
要介護3と認定された方は、日常生活において支援や介助が必要な状況にあります。介護保険サービスを活用することで、安心して生活を続けることが可能です。ここでは、要介護3の方が利用できるサービスについて紹介します。
在宅で利用するサービス
在宅で利用するサービスは「訪問型サービス」と呼ばれ、看護職員や介護職員などの有資格者が自宅に訪問してサービスを提供します。
要介護3で利用できる訪問型サービスには次のようなものがあります。
- 訪問介護(ホームヘルプサービス)
- 訪問看護
- 訪問入浴
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
訪問介護では、身体介助として食事や排泄、入浴の介助が提供されます。訪問介護で受けられるサービスの種類は、次のとおりです。
- 身体介助:食事・排泄・入浴などの介助
- 生活援助:掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援
- 通院介助:通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービス
サービスの種類によって費用が異なるため、あらかじめ理解しておきましょう。
施設に通って利用するサービス
要介護3の方が施設に通って利用できるサービスが「通所型サービス」です。このサービスでは、利用者が可能な限り自立した生活を送れるように、心身機能の維持や他者との関わりを促進し、家族の介護負担を軽減することを目指しています。
要介護3で利用できる通所型サービスは、次のようなものです。
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
- 地域密着型通所介護
- 療養通所介護
- 認知症対応型通所介護
また、通所型サービスは家族にとっての休息時間(レスパイトケア)としても活用できる点はメリットです。
宿泊して利用するサービス
宿泊して利用できるサービスが「短期入所型サービス」です。利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることを支援するために提供され、孤立感の解消や心身機能の維持・回復を目的としています。
要介護3で利用できる短期入所型サービスには次のようなものがあります。
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
どちらも連続利用可能な日数は、最長30日までです。
訪問・通所・宿泊を組み合わせたサービス
要介護3の方が利用できる訪問・通所・宿泊を組み合わせたサービスには、次の2つがあります。
- 小規模多機能型居宅介護
- 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
小規模多機能型居宅介護では、通いを中心として訪問型サービスや短期間の宿泊サービスを組み合わせるなど、利用者の選択に応じたサービスが受けられます。
看護小規模多機能型居宅介護とは、小規模多機能型居宅介護に看護サービスが加わったものであるため、医療的ケアが必要な方にも対応可能です。
施設などに入居して利用できるサービス
要介護3の方が有料老人ホームや軽費老人ホームなどの施設に入居して利用できるサービスとしては、次のようなものがあります。
- 介護老人保健施設(老健)
- 特定施設入居者生活介護(ショートステイ)
- 介護医療院
介護老人保健施設(老健)では、リハビリテーションを重視し、在宅復帰を目指す方に適したサービスが提供されます。介護医療院は長期療養が必要な方に対し、医療と介護を一体的に提供する施設です。
地域密着型サービス
地域密着型サービスとは、住み慣れた地域でできる限り自分らしい暮らしを続けるために提供される包括的なケアシステムです。市町村が指定した事業者から提供され、要介護3の方も利用可能です。
要介護3が利用できる地域密着型サービスには、次のようなものがあります。
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 小規模多機能型居宅介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
これらのサービスを活用することで、地域の中で安心して暮らせるでしょう。
要介護3の支給限度額や助成・給付制度
要介護3の方が利用できる介護保険サービスの支給限度額や助成・給付制度について解説します。これらの制度をうまく活用して、適切な介護サービスを受けることが大切です。
支給限度額
要介護度に応じて、介護保険から給付される1か月あたりの上限額(支給限度額)が決まっています。要介護3の場合は、月額270,480円です。
限度額内でサービスを利用する際、費用の1割(一定以上所得者の場合は2割、または3割)を自己負担することになります。なお、支給限度額を超えてサービスを利用した分については、全額自己負担です。例えば負担割合が1割の方の場合は、自己負担額の月上限は27,048円となります。
給付金・補助金
要介護3に認定されると、福祉用具のレンタルや購入、住宅改修に関する給付金や補助金が利用可能です。
<福祉用具のレンタル>
福祉用具のレンタルでは、月額レンタル料の1~3割を自己負担し、残りの費用は介護保険から給付されます。福祉用具を購入するよりもレンタルしたほうが、費用を安く抑えられます。
レンタルできる福祉用具は、次のとおりです。
- 歩行補助杖(松葉杖や多点杖など)
- 手すり
- 介護ベッド
- 歩行器
- スロープ(工事を伴わないもの)
- 車いす
- 車いす付属品
- 特殊寝台付属品
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 認知症老人徘徊感知機器
- 移動用リフト(工事を伴わないもの・つり具部分を除く)
- 自動排泄処理装置(尿のみ吸引するもの)
<福祉用具の購入>
福祉用具を購入する場合も、1~3割の自己負担で購入可能です。ただし、購入する際は指定事業所での購入が対象となるため注意してください。
購入できる福祉用具は、次のとおりです。
- 腰かけ便座
- 自動排泄処理装置の交換可能部品
- 入浴補助用具
- 簡易浴槽
- 移動用リフトの吊り具部分
- ポータブルトイレ
<住宅改修費>
住宅改修費とは、自宅の介護リフォームをするときに支給される給付金です。支給額は、介護保険被保険者1人につき上限20万円(所得に応じて1~3割を自己負担)です。
サポート対象となるものとしては、次のようなものがあります。
- 自宅への手すりの取り付け
- 玄関の段差の解消
- 引き戸などへの扉の取り替え
- 洋式便器などへの便器の取り替え
- 住宅改修 など
なお、要介護者1人につき1回のみの支給となるため、注意してください。
要介護3のケアプラン事例
要介護3の方が利用できるケアプラン事例について、在宅介護と施設介護に分けて紹介します。要介護3の場合、日常生活において常に誰かの支援が必要です。
そのため、在宅介護では、訪問介護や訪問看護、通所介護(デイサービス)といった複数のサービスを組み合わせることになります。
一方、施設介護では、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などが選択肢です。施設に入居することで、専門スタッフによる24時間体制の介護を受けられます。それぞれの事例を見ていきましょう。
在宅介護の場合
在宅介護で利用するケアプランは次のものとして計算します。1か月でかかる合計料金は250,920円です。1割負担の方は、25,092円でこれらのサービスを利用できます。
サービス名 | 利用回数 | 月額利用料金 |
訪問介護(ホームヘルプサービス) | 8回 | 25,840円 |
訪問看護 | 8回 | 42,000円 |
訪問入浴 | 4回 | 57,080円 |
訪問リハビリテーション | 4回 | 13,440円 |
通所介護(デイサービス) | 8回 | 76,880円 |
短期入所生活介護(ショートステイ) | 2日 | 19,020円 |
福祉用具貸与 | 定額 | 16,660円 |
合計 | 250,920円 |
施設介護の場合
要介護3の方が施設介護を利用する場合、特別養護老人ホーム(特養)などが選択肢となります。今回は、特別養護老人ホームでサービスを受ける場合の月額利用料を例として紹介します。
<ユニット型個室タイプの場合>
- 施設サービス費:27,415円(1割負担の場合)
- 家賃・食費・管理費など:約10万円
- 合計:約13万円
特別養護老人ホームでは、24時間体制で必要な介護や日常生活の支援を受けられます。ユニット型個室タイプを選ぶとプライバシーが確保され、より快適な生活が可能です。
要介護3の状態を理解してうまく介護サービスを利用しよう
要介護3は、日常生活の多くの場面で介助が必要な状態です。自立した生活を送るためには、適切な介護サービスの利用が欠かせません。
利用可能な介護サービスは、在宅での訪問介護(ホームヘルプサービス)や通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)など多岐にわたるため、利用者のライフスタイルやニーズに合わせた選択が求められます。要介護3の状態をしっかり理解し、最適な介護プランを考えましょう。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝
2011年 4月 入社 事業推進部 配属
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長