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お役立ちコラム
2022年5月1日
要介護認定とは?申請の手順と介護保険サービスの使い方を徹底紹介
要介護認定とは、介護もしくは支援を必要とするレベルを数値で示したものです。介護保険サービスを受けるためには要介護認定を受ける必要がありますが、どこにどうやって申請すればよいのかわからずお困りではないでしょうか。この記事では要介護認定の大まかな内容と、申請する際の手順などをわかりやすく紹介します。
目次
要介護認定とは
介護が必要な状態を「要介護」といい、要介護までいかないけれど支援が必要な状態を「要支援」と呼びます。支援や介護がどの程度必要であるかの判定が「要介護認定」です。
要支援の度合いを2段階で示す「要支援度」と要介護の度合いを5段階で示す「要介護度」で表されます。
要介護と要支援の基準に基づいた判定
要支援および要介護の状態を判定する要介護認定は、国によって定められた方法と要介護と要支援の基準に則って、各市区町村が行います。個別の判定が公平におこなわれるように、全国共通の定量的な基準が定められています。
その基準は「サポートする他者の手間がどれくらいかかるのか」という視点から定められています。「介護の手間」を時間に置き換えて評価した「要介護認定等基準時間」によって判定の基準は決まるのです。
要介護・要支援であれば介護保険が使える
要支援および要介護と判定された人は、その度合いに応じて介護保険サービスの利用が可能です。
要支援1〜2の場合は基本的には1人で生活が行えるけれど、部分的にサポートが必要な際にサービスが利用できます。
要介護1~5の場合は、思考力・理解力・運動機能の低下によって日常生活を営むのに支障が生じ、介護が必須になる際に介護サービスが利用可能です。
また、どちらにも該当しない場合には、自立(非該当)と判定されます。
要介護認定の申請の流れ
実際に要介護認定を受ける際には、主に以下のような手続きの流れで進みます。
- 手続き1.市区町村に申請
- 手続き2.訪問調査
- 手続き3.主治医意見書の作成
- 手続き4.1次判定
- 手続き5.2次判定
- 手続き6.認定結果通知
それぞれの手続きを見ていきましょう。
手続き1.市区町村に申請
国が管轄する要介護認定ですが、申請手続きは要介護者が住んでいる、各市区町村の窓口にて行います。申請窓口としてどこに行けばよいのか分からないという際には、役所の総合案内を経由すればよいでしょう。
要支援度や要介護度の段階に応じて利用できるサービスは変わってきますが、申請はどちらも市区町村の窓口となっています。
本人が申請できない場合
事情があって本人が申請ができないということもあるでしょう。そのような場合は、状況に応じて代理を立てなければなりません。
例えば本人が入院しているなどの理由で申請できない場合、代わりに家族が申請を行います。家族の応援が受けられない場合は、以下の3つの施設が申請代行してくれます。
- 介護保険施設(本人が入所している場合)
- 居宅介護支援業者
- 地域包括支援センター
病院に所属するソーシャルワーカー(MSW)が連携をとってくれることもあります。事前に確認しておきましょう。
手続き2.訪問調査
要介護認定の申請が完了すれば、認定調査が始まります。申請後に行うのはまず訪問調査です。対象者本人の生活状態や心身の状態や、家族や住まいの状況をヒアリングなども含めて確認します。
訪問調査を手掛けるのは、ケアマネジャーなどの認定調査員です。ヒアリングでは対象者の実態を正確に把握することが重要になります。そのため、家族にも同席してもらい、普段の様子を聞かせてもらうことが多いです。
なお区分の変更や更新の場合の訪問調査は、市区町村の認定調査員のほかに委託契約をしたケアマネジャーが行うことも可能です。
訪問日程については本人や家族の希望や調査者の予定を擦り合わせ、相談しながら決定します。入院などの事情で自宅にて調査ができない場合は、病院での訪問を受けることも可能です。
訪問調査の内容は、以下の通りです。
- 現在置かれている環境、健康状態や住居、家族の状況など
- 身体や生活、認知、起居、社会性などの機能、行動障害や精神状態、最近受けた特別な治療など
- 具体的な説明を要する特記事項の有無など
手続き3.主治医意見書の作成
訪問によるヒアリングが終われば、次は主治医意見書の作成です。対象者の主治医に、市区町村から作成を依頼します。かかりつけの医師がいない場合は、市区町村が指定する医師による診察が行われます。
この主治医意見書は、介護認定の更新ごとに必要です。普段は健康に過ごせている方も、心身の状態を確認するためにも年に一度は健康診断を受けるほうがよいでしょう。
手続き4.1次判定
1次判定は、訪問調査による認定調査の結果と主治医意見書の両者の情報に基づいて、コンピュータが審査します。
「1分間タイムスタディー・データ」と呼ばれる、約3,500人に対して行った実験の研究データ「要介護認定等基準」をもとに、コンピューターが「介護にかかる手間」を推測します。
具体的には最も心身状況が近いと想定できる高齢者のデータを特定し、1日のうちで介護が必要となる時間を示す「要介護認定等基準時間」の推計値を求める方法です。
さらに、運動能力は低下していないけれど認知症がある人は「認知症加算」といって、関連するデータに基づいて時間が加算されます。
1次判定にて要介護認定等基準時間と認知症加算によって、以下のとおりに区分されます。
判定区分 | 要介護認定等基準時間+認知症加算の合計 |
要支援1 | 25分以上32分未満あるいはそれに相当する状態 |
要支援2 | 32分以上50分未満あるいはそれに相当する状態 |
要介護1 | |
要介護2 | 50分以上70分未満あるいはそれに相当する状態 |
要介護3 | 70分以上90分未満あるいはそれに相当する状態 |
要介護4 | 90分以上110分未満あるいはそれに相当する状態 |
要介護5 | 110分以上あるいはそれに相当する状態 |
手続き5.2次判定
2次判定では、1次判定で出た結果をもとに「介護認定審査会」による総合的な判断が下されます。
介護認定審査会は合議体で、構成メンバーとして医療や保険、福祉関係から5名ほどの学識経験者が選ばれます。
1次判定に反映されない個別の事情を考慮した上で、1次判定の結果を必要に応じて変更可能です。
手続き6.認定結果通知
ひととおりの認定作業を終えると、市区町村は申請日から原則として30日以内に、介護認定結果通知書を送付するように決まっています。
この認定結果が納得できればよいですが、そうではないケースもあるでしょう。また、認定には期限があり、更新の申請が必要です。
認定結果に不服がある場合
要介護認定結果の内容に不服がある場合には、都道府県ごとに設置されている「介護保険審査会」に審査請求ができます。
ただし、審査請求にも期限があります。通知を受け取った翌日から60日以内に請求しなければなりません。
認定の有効期限と定期更新
介護認定の結果には必ず有効期限が設定されています。その期限を超えると介護保険が適用されなくなります。
更新の申請は有効期限終了の60日前から可能となります。申請から結果の通知まで最大で30日かかることを考え合わせれば、少なくとも有効期限が終わる30日前までに更新の申請を行っておくのが賢明です。
更新時の申請方法は、新規で申請した場合とまったく同様の手続きが必要となります。
要支援度と要介護度の区分
要支援・要介護の区分は、要支援(1〜2)と要介護(1〜5)です。区分対象外となる状態は「自立レベル」に位置付けされます。
自立レベルは単独で生活ができ、現時点では支援も介護も必要ない状態です。この段階では利用できる介護保険を利用できず、介護給付金を受け取ることもできないため、サービスを受ける場合には、費用が全額自己負担となります。
ちなみに介護施設は自立レベルで入所できるところとできないところがあり、施設によってさまざまです。
要支援1〜2
要支援には「要支援1」と「要支援2」の2つのレベルがあり、どちらのレベルでも介護サービスではなく介護予防サービスが適用されます。基本的には単独での生活ができるので、在宅介護であっても家族にかかる負担は比較的少ないといえるでしょう。
要介護1〜5
要介護には「要介護1」から「要介護5」までの5つのレベルがあります。運動能力だけでなく思考・理解力の低下も見られ、単独での日常生活が困難な状態です。
介護サービスを利用できます。要介護はレベルによって状況がかなり異なるため、在宅系サービスから施設系サービスまで、その種類は多岐に渡ります。
在宅介護では、要介護度が高くなるほど介護に充てる時間が増えるでしょう。場合によっては一日中、時間を費やすほどになります。家族の負担を軽減するためにも、介護サービスを上手に活用することが大切です。
要介護者の介護保険サービスの使い方
介護保険サービスを利用する際の手順は、要支援の場合と要介護の場合でそれぞれ異なります。
また要介護であっても、在宅でサービスを受ける場合と、介護施設でサービスを受ける場合とではサービス内容が変わってきます。
それぞれの介護保険サービスの使い方を見ていきましょう。
自宅で介護サービスを受ける場合
要介護1~5の要介護者が自宅で介護サービスを受ける場合、以下のような手順となります。
- 手順1.居宅介護支援事業所を選ぶ
- 手順2.担当のケアマネジャーが決まる
- 手順3.ケアプランを作成する
- 手順4.介護サービスを利用する
居宅介護支援事業所とはケアマネジャーが所属する介護サービス事業者で、介護施設に併設されている場合もあります。心当たりのケアマネジャーがいない場合には、地域包括支援センターに相談するのがよいでしょう。
ケアマネジャーに本人や家族が送りたい生活の意向を伝え、その内容を反映したケアプランを作成してもらいます。
サービス内容に希望があれば、ケアプラン作成の際にしっかり伝えておくことが大切です。より満足度が高い介護サービスを受けるためには、介護の専門家であるケアマネジャーとコミュニケーションを充分に取りましょう。相互に理解し、信頼できる関係性を構築することが重要です。
ケアプランが完成すれば、いよいよ介護サービスの利用開始です。デイサービスや訪問介護など、自宅で利用できるサービス事業者と直接契約を行います。契約時には、費用やサービス内容などの気になる点について確認しておきましょう。
事業者との契約は、本人が行うことが必須です。家族の独断で契約はできませんが、認知症のように本人が判断できない状態である場合に限り、代理人を立てることが可能です。
契約後、ケアマネジャーに作成してもらったケアプランに基づき、介護保険を使ったサービスを利用できます。
介護施設に入る場合
要介護1~5の要介護者が介護保険施設に入所する場合、以下のような手順となります。
- 手順1.介護施設を選ぶ
- 手順2.ケアプランを作成する
- 手順3.介護サービスを利用する
介護施設を探すときは、できるだけ身内で見学を行いましょう。費用やサービスの内容などを確認し、もし可能なら体験を行うことで、求めるサービスが得られそうかがある程度わかります。
施設が決まれば申し込みです。入所後は施設のケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、介護保険サービスを利用します。
要支援者の介護予防サービスの使い方
要支援1〜2の方が介護予防サービスを利用する場合は、以下のような手順となります。
- 手順1.地域包括支援センターに相談する
- 手順2.センターの職員に介護予防ケアプランを作成してもらう
- 手順3.介護予防サービスを利用する
介護予防サービスを利用する場合には、地域包括支援センターに相談し、支援計画書を作成してもらいます。
要介護の場合と同様に生活の送り方の希望を本人、もしくは家族がきちんと伝えることが大切です。
要介護認定を正しく理解し活用しよう
要介護認定を申請すると訪問調査が実施され、1次判定と2次判定を経て認定結果が届きます。それから居宅介護支援事業者や介護施設を探し、ケアマネジャーに相談してケアプランを立てる必要があります。
申請してから実際にサービスを利用するまで時間がかかるケースもあることを理解し、段取り良く進めることが大切です。
サービスの種類も介護の状況によって異なります。要介護認定の制度を正しく理解して、介護サービスを上手に活用しましょう。
あなぶきの介護は、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、介護付き有料老人ホームを運営しております。自宅に居ながら無料相談ができるオンライン入居相談のサービスをご利用頂き、お気軽にご相談ください。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝
2011年 4月 入社 事業推進部 配属
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長