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シリーズ特集記事
~介護現場のイマ~
取材記<二日目>
自分らしさを支えるケアプランってどうやってつくる?
この記事を書いている人
あなぶきヘルスケア
喜田 康生
~介護現場のイマ~第二回目はケアマネジャー(介護支援専門員)を取り上げたいと思います。
はじめてのケアプラン作成から、定期的に実施されるサービス担当者会議など、入居者様も、ご家族様も、長くお付き合いすることになるケアマネジャー。ケアプランがなければ、介護保険サービスは受けられません。では、それぞれの事情に合った最適なケアプラン(介護サービス計画)を作ってもらうにはどうするのがよいでしょうか。
※この取材記では「介護現場のイマ」と題して、ネット記事でよくありがちな“飛び交う情報をまとめただけの記事”ではなく、できる限り実際の現場に足を運んで取材し、ご本人様、ご家族様、介護職員、さらには経営層まで、様々な視点から介護現場の今をリアルにお届けいたします。どうぞ最後までお付き合いください。
平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から介護をサポート。
こんにちは。みなさんはケアマネジャー(介護支援専門員)のお仕事をどこまで知っていますか?
たとえば、以下に挙げたリストのうち、どれがケアマネジャーが担当する業務なのか答えられるでしょうか?
実は、上記に挙げたものすべて、居宅介護支援事業所におけるケアマネジャー(介護支援専門員、以下ケアマネ)の業務になります。
介護保険制度において、ケアマネは、利用者様・ご家族様とサービス事業者の間を取り持つ、公正・中立な存在として位置づけられています。ケアマネは、日々さまざまな相談事項や調整を行いながら、最適なケアプランの作成・見直しをしています。
そして、介護保険によるサービスを受けるには、このケアプラン(介護サービス計画)がなければ何も始まりません。
施設のスタッフが提供するサービス内容も、訪問介護計画書に従ってホームヘルパーが行う訪問介護サービスも、すべてケアプランに基づいてケア内容が決められています。どういった介護サービスが受けられるかどうかはケアマネにかかっている、と言っても過言ではありません。
逆に考えれば「よい介護サービスを受けるには、よいケアプランを作ってもらえるかどうか」がとても重要なのではないでしょうか。
そこで今回の取材では、居宅介護支援事業所のケアマネを訪ね、「よいケアプランとはどういうものか、どうやったらそれを作ってもらえるのか」を聞いてみることにしました。
取材に協力してくれたのは「アルファリビング高松伏石南」に併設している居宅介護支援・訪問介護事業所「あなぶきケアサービス高松」で主任介護支援専門員(主任ケアマネ)をされている吉田さん。とても人当たりの良い物腰が柔らかな女性のケアマネでした。ご協力ありがとうございました。
「その人をよく知ることです。ケアマネは人を見極める力が必要なんです。」
最初に「よいケアプランはつくるにはどうしたらいいでしょうか?」とお尋ねした際、返ってきた吉田さんの言葉でした。
その理由についても聞いてみました。
「利用者様・ご家族様の置かれている状況や環境、気持ちなどを汲み取ることができないと、本当にその人に合った最適なケアプランを作ることはできません。介護サービス事業者に対しても、利用者様に合う適切なサービスをちゃんと提供してくれるかどうかの見極めが必要です。だからこそ、ケアマネは何よりも観察力が大事だと思います。」
真剣な表情でお話いただいた後、最後にニコッと笑った吉田さんを見て、ケアマネとして大事にされている哲学だったり、誇りや自信、そして覚悟のようなものが垣間見えた気がしました。
ケアマネは、日々、利用者様・ご家族様の置かれた生活環境や財政事情なども加味しながら、「その人に合った最適な介護サービスは何だろうか?」を自問自答しながら、公正・中立かつ、利用者目線で真摯に向き合うことが求められます。そして、そこで導き出された答えを文章として言語化します。これがケアプランに記載され、各サービス事業者に託されるのです。
そう考えると、ケアマネ次第でケアプランの出来(つまりは、介護サービス内容)に相当な差が出てくることは容易に想像がつきます。
吉田さんの熱の入った言葉はさらに続きます。
「サービス担当者会議中でも、ご利用者様とご家族様の表情などは常に気にしています。小さな表情の変化もなるべく見逃さないようにして、気になった部分はフォローを入れるようにしています。内容によっては、みんなの前では話しづらそうなこともありますので、そういった場合は後ほど個別に時間を設けて、お話をお伺いしたりもしています。」
いやー、……すごいですねぇ。と、思わず感嘆の声が出てしまうことが取材の中で何度もありました。
サービス担当者会議では、ケアマネがファシリテーション(司会進行)をしながら、議事録用のメモも記録することが通常です。
それらをこなしながら、会議に参加している方の表情の機微まで気を配るのですから、恐れ入りますよね。
吉田さん自身は「言葉や表情の裏にある本音を引き出すテクニックがいるんです。これはもう心理学に近いかもしれませんが。」と笑ってらしたのですが、さすがにこれは誰でもできることではないと思い、正直にぶつけてみました。
「実際には誰でも得手不得手があるでしょうから、ケアマネの中には気持ちを汲み取るのが得意じゃない方もいらっしゃると思います。
そういった場合でも、よいケアプランをつくっていただくために利用者様・ご家族様の方で何か出来ることはありますか?」
「確かに聞き取りがあまり得意ではないケアマネもいらっしゃいます。それでも利用者目線で真摯に向き合ってくれるケアマネでしたら、ぜひケアマネを信頼できるパートナーとして希望や要望を自ら伝えてみてください。そして、利用者様・ご家族様のことをできるだけ多く教えてあげてください。そうすることで、ケアマネは利用者様に合った最適なケアプランを立てやすくなるんです。」
よくよくお話をお伺いしていると、最適なケアプランを作る上での障壁となっているものとして利用者様・ご家族様の「羞恥心」や「プライド」だったりというのは、実際多いようです。昔は当たり前に出来ていたことが出来なくなった。親族のいざこざは恥なので知られたくない。資金がないと思われるのが嫌。など、さまざまな理由から隠したがるそうです。
ただ、やはりケアマネさんとは長い付き合いになります。
介護の度合いによっては人生をまっとうするまで一生のお付き合いとなることも珍しくありません。
たとえ要介護度が上がり、だんだん自由が利かなくなったとしても、最後まで自分らしく過ごすためにはどうすべきか。
その問いにそっと寄り添ってくれる存在がケアマネなのだと思います。
最後に吉田さんはおっしゃった言葉が印象に残りました。
「その人自身の最後のストーリーを組み立ててあげられるのが本当のケアマネだと私は思います。」
ケアマネの仕事は、介護保険サービスを利用するためのケアプランを作成したり、給付管理などの事務手続きをするだけではありません。
本質的には、一人ひとりの人生と向き合い、寄り添い、最期まで支える。
そして、さらには地域や社会の在り方とも生涯に渡って向き合っていく、そんな仕事なんだと思います。
<おわりに>
ケアマネが、ケアプラン作成に至るまでには、利用者様・ご家族様のさまざまな情報が加味されてプランが立てられることが今回の取材でよくわかりました。利用者様にとっては一生をかけてお付き合いすることになるパートナー。それぞれ信頼できる存在になれるよう、まずは互いの歩み寄りが大切だと感じました。