- あなぶきの介護トップ
- 特集一覧
- 優秀な介護スタッフを育てる教育体制
~アルファリビングの魅力~
アルファリビング施設の魅力
シリーズ特集記事
~介護現場のイマ~
取材記<三日目>
常に人材不足と言われる介護業界。高い離職率を改善するにはどうする!?
この記事を書いている人
あなぶきヘルスケア
喜田 康生
~介護現場のイマ~第三回目は教育体制について取材しました。
人の流動が激しい介護業界では、人手不足が深刻化しています。せっかく人材を確保しても離職していくのではスキルの継承もままなりません。優秀なスタッフを確保するにはどうしていけばよいのでしょうか。施設長を経て、現在エリアマネージャーをされているお二人に話をお伺いしました。
この取材記では「介護現場のイマ」と題して、ネット記事でよくありがちな“飛び交う情報をまとめただけの記事”ではなく、できる限り実際の現場に足を運んで取材し、ご本人様、ご家族様、介護職員、さらには経営層まで、様々な視点から介護現場の今をリアルにお届けいたします。どうぞ最後までお付き合いください。
平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から介護をサポート。
※今回は二人同時に取材させていただいたこともあり、インタビュー形式でお届けします。
本日は介護現場の「教育体制」についてお伺いしますが、まずは簡単にプロフィールについてお聞きしたいと思います。
お二人はどちらも施設長の経験を経て、現在のエリアマネージャーになられてますが、それ以前の経歴について教えていただけますか?
中井・写真左)僕は今も関わりがあるのですが、大学の教育機関に5~6年ぐらい居させていただいてて、介護福祉士の養成をしておりました。これまで教育に関わるこをずっとやってきたので、それを活かしたいと考えていました。
矢倉・写真右)僕の方は、以前は医療法人で在宅系の介護サービスに携わっていました。もともと小規模多機能ホームなどで管理職をしていたので、施設長にも興味はありましたね。
施設長からエリアマネージャーになって変わったことはありますか?
矢倉)目線はそんなに変わっていないですが、本社所属という意識は強くなりました。自分のところだけではなく、より全体を見るようにはなりましたね。視野が広がり、俯瞰視点で見れるようになったという実感はあります。
中井)そうですね。僕も同じです。施設長のときより、会社全体を見るようになりました。
赴任して最初の頃は、今ほど教育体制が整っていなかったとか?
中井)そうですね。正直なところ、最初は教育体制が全くなっていない。と感じることがありました。現場のスタッフ間でのレクチャーも統一されていなかったり、たとえ離職者が出たとしても、何が原因でそうなったのか省みずにうやむやになったり……。でも、それは違うだろうと。だから、まずは1ヶ月、お互いにサポートしあえる雰囲気づくりを目指しました。そこに立てたら、今度は2ヶ月、3ヶ月と少しずつ、その形を持続できるよう延ばしていきました。
なるほど。徐々に仕組み化を目指したわけですね。
中井)はい。いきなり全体へは難しいので、最初は自分の担当エリアからスタートさせました。その後、他エリアのマネージャーである矢倉さんと連携を拡げていき、最終的には会社全体への提案として人事ともすり合わせを行いながら進めていきました。こうして出来たのが「3ヶ月プログラム」です。入社して3ヶ月は新卒でも中途でも、このプログラムを受けていただいています。3ヶ月間はメイントレーナーがつき、しっかりと教育をする仕組みです。
矢倉)「3ヶ月プログラム」の導入前は、今よりも会社に帰属する考えが薄く、どうしても自分のやり方の介護をしてしまいがちでした。自分の経験則の中で後輩や部下を教える形だったので、どういった意味合いや目的でやっているのか、という認識が弱かったように思います。いくら介護が奉仕精神が大事であってもサービス業には違いありません。自己満足のサービスではなく、お客様目線で大事なところをしっかりサービス提供させていただく。そのためには組織としてのまとまりは必要不可欠なことでした。
「3ヶ月プログラム」を導入してみての効果はどうでしたか?
中井)スキルの細かな指導といったレベルではまだまだ課題もありますが、マインドとしての効果は感じています。導入してから色々と検証していますが、「3ヶ月プログラム」がきっちり機能すると、定着率も格段に上がってきています。離職率も一番悪い時期に比べると半数以下に抑えられるまでになりました。
矢倉)僕の方では「3ヶ月プログラム」の基盤を拡げたり、キーマンである各施設長を盛り上げるなどして、フォローをしていました。
「3ヶ月プログラム」があったから変わったというより、現場の考え方を一致させた。というのが大きかったように思います。
一定の水準までは「3ヶ月プログラム」でカバーできるとして、そこから先はどうやって育成しているのでしょうか?
中井)「3ヶ月プログラム」自体は「オン・ボーディング(組織の一員やサービスのユーザーとして新しく加入したメンバーに手ほどきを行い、慣れさせるプロセス)」の一貫として実施しているので、「3ヶ月プログラム」終了後も適宜面談などを実施しながら、継続的な育成は行っています。現在は「テレビ研修」というのも実施していて、全社的にオリエンテーションだったり、研修や基礎的な知識のフォローを行っています。
矢倉)現場だけでは、どうしても目の前の業務を教えるということに偏りよちがちなのですが、そこは人事などとも連携して、まずは仲間として受け入れる。そうして信頼関係を構築した上で、じゃあ会社組織の一員として、自分に何ができるか。どうしたらお客様が喜んでくれるか。を考えられるように育成していきます。これはスタッフ同士に限らず、相手がお客様であっても、家族であってもですが、信頼を得るためのコミュニケーションとして「通意性」はすごく大事だと思います。
中井)嘘をつかないってのも大事だよね。ホワイト。ダメなときは隠さずにちゃんと言うとか。
矢倉)そうそう。信頼関係の中での情報の透明化。ホワイトで全部ちゃんとやっていけば自信をもって適正なことをしていると感じられる。後ろめたさや不安のない健全なコミュニケーション。
迷いなく動けるってのは強いですよね。
中井)はい。それにあなぶきの介護が掲げる「自分らしさを支えたい。」を体現しようと思ったら、必要なこともであるんですよね。多少のリスクがあっても、お客様の望むことを実現するにはどう動くべきか。よりよいサービスを提供するために「これはやっちゃいけない。」とか「これをやろうと思ったら、こういうリスクがあるけど、こんなリスク回避ならとれるな。」といった具合に判断するための指針が、会社組織として用意できて初めて、現場スタッフが「最上のサービス」を提供するために動けると思うんです。
矢倉)例えば、散歩1つとっても転倒リスクはあるわけです。組織がある程度の規模数が大きくなると、会社としてはこれだけはダメ。あれはダメ。ってがんじがらめになりがちですが、それではお客様の望むサービスにはなりません。入居者様のしたいこと、ご家族の方が求めていらっしゃるのは何だろうか。をしっかりと考える。そして、求めらえる部分をちゃんと支えるために、僕らの介護ってあるのかな。と思います。それをスタッフみんなに伝えていくのも僕らの仕事ですね。
インタビューしてみて感じたのは、組織としての指針を個々がちゃんと理解することの大切さでした。
介護サービスにはリスクがつきものです。でもリスクばかり考えていたらお客様の望むサービスは提供できません。
いつどんなときでも最善の判断ができるスタッフを育てるために、やるべきことが見えた1日でした。
お二人とも「やりたいことの一部が実現できただけで、まだまだこれからです。」と力強く言ってたのが印象的でした。
これからも頑張ってください。
(写真左:矢倉さん、写真右:中井さん)